雪の木曽御嶽山3000mで頂上宴会だ!


今日は、まだ雪深く冬山の様相の木曽御嶽山の3000mの頂上で宴会をしようと
いうことになり、ゆうパパとともに御嶽山へと向かいました。
                             
                                
今日は昼から雲が出て、15時ごろには雲に覆われるという山岳天気予報を信じ、
朝早く登山するために、大阪府泉大津市の自宅をゆうパパとともに前日の夕方に
出発しました。
                                    
                                  

御嶽山へは、六合目で標高1900mとなる、ここ中の湯(黒沢口)駐車場から出発です。
時刻は午前5時15分です。
               
前日、最近除雪が整って開通した霊峰ラインを通って、御嶽山登山口の中の湯(黒沢口)に
到着し、車中で一泊しました。
                               
木曽御嶽山への登山口は、大きく4つあります。
最もポピュラーな田の原(六合目)と、御嶽ロープウェイの利用(七合目)、
濁河温泉(六合目半)、そしてこの中の湯(六合目)です。
この季節は、田の原は「おんたけ2250スキー場」の営業のためスキー場下からし
利用できず、御嶽ロープウェイは雪のため未営業、そして濁河温泉からは北斜面ということで
アイスバーンで冬は道が険しいとのことで、この黒沢口にほとんどの登山客が集まるのです。
                      
といっても、GWでもありながら、冬山となる御嶽山に入れるのは技術のある人に限られ
ており、今日も駐車場には5台(5組)しか居ませんでした。
                               
                               

出発してすぐに、気温の高いことに戸惑います。
この季節、天気が悪ければ猛吹雪になるのですが、今日は春を通り越し、夏のような暑さ
で、気温が10℃近くあります。(3000M峰で10℃は真夏の気温です)
                                     
                                   

ゆうパパも暑そうです。
顔から汗が流れ落ちます。
                          
                      

歩き始めて約1時間で七合目を過ぎ、小休憩しました。
日帰り予定では通常厳冬期以外でこのような多くの荷物を持つことはありません。
しかし、我々の目的が頂上での宴会ということで、荷物の半分くらいが酒と肴なのです。
ビールや日本酒、新鮮な海の幸を冷やして飲食したいために、リュックの中には
小さなクーラーボックスも入れています。
             
まさか、他の登山客も、我々がクーラーボックスを持って頂上まで行くとは誰も想像
できないでしょう。
                            
                     

七合目を超えると、視界が開けてきました。
一昨日は吹雪で新雪がうっすらと積もったようですが、GWで数組の登山客が昨日入山した
ようで、数本のトレースが残っています。
                       
                

木曽三岳の村を眼下にゆうパパも登ります。
                         
                       

八合目が近づき、ようやく木曽御嶽山がその大きな山容を見せました。
頂上まで雪に覆われていますが、天気は快晴です。
                            
         

歩き始めてちょうど2時間で八合目に到着しました。
北アルプスが遠望できます。
特に大きな山容の乗鞍岳がその風格を感じさせます。
                              
                  

八合目には女人堂(金剛堂)があります。
霊峰である木曽御嶽山をバックに鳥居と女人像が建っており、御嶽山に向けて拝むことが
できます。
                        
              

八合目の女人堂で大休憩のあと、いよいよ急峻な斜面へと入っていきます。
女人堂の山小屋をバックに歩き始めると、さらに雪が多くなります。
                                
               

このあたりから、少々空気が薄くなってきていることを感じ始めます。
どの山を登っても、いつも2600あたりから空気が薄くなり呼吸が浅くなるのを感じます。
                                         
                   

頂上までよく見渡せますが、誰も我々より上には登山客がいないようです。
                 
また、八合目から九合目にかけての大カールには、シュプールが数本残っていました。
おそらく、昨日、山スキーで数名が滑ったのでしょう。
おけパパも若いころは山スキーをやっていて、このような山で頂上近くから大胆に滑った
ものです。
                      
                    

何という名前かしりませんが、八合目半の稜線上に鐘があり、鳴らしてみました。
力一杯たたくと山じゅうに響き渡ったのです。
          
実は、今の季節だから大丈夫ですが、2月〜4月上旬までは鐘を鳴らすことはできません。
その音波で雪崩が起きたら大変ですからね。
                          
               

重い荷物でペースが上がらない我々に、大カールを山スキーでシールを履いて登ってきた
人に二人の写真を撮ってもらいました。
この人たちは頂上には行かず、この大カールを何度か滑り下りることを楽しむようです。
                 
                

九合目の山小屋に到着です。
ちょうど、雪が積もり、山小屋の屋根がベンチ代わりになっていました。
ここで、頂上に向けての急峻な斜面と北斜面のアイスバーンに備えるためにアイゼンを
装着しました。
  
それにしても、山ではウィスキーが美味しいですね。
                          
                
  
九合目を出発です。
頂上が見えていますが、ここからまだ1時間近くかかるのです。                  
               
                  

頂上のカルデラを形成する稜線に出ました。
            
             

木曽御嶽山には大きく3つの外輪山とそれらによって形成されるカルデラ湖が5つあります。
そのひとつである二ノ池が幻想的なブルーに色染まっています。
このブルーは氷に閉じ込められた二酸化炭素の影響で、湖面の氷が解け始めるこの季節にしか
見られない貴重なものです。
                   


二ノ池を取り囲む外輪の雪の斜面です。
みごとな雪紋が細かな縦筋になっています。
ちょっと写真ではわかりにくいですね。
               
                         
                           

頂上近くのカルデラ稜線上に童子像があります。
                   
                    

美しい色の二ノ池を眼下に見ながら小休止です。   
              
        

奥には雪をかぶった乗鞍が同じ目線にあります。
乗鞍は御嶽山から北に一番近い3000m峰なのです。
   
             

頂上直下の山小屋が見えてきました。
              
                 
             

頂上までもう一息です。
ゆうパパの足取りも早まります。
                     
             
                              

頂上の鳥居と祠の直下にある最後の急坂です。
これを登ると頂上です。
                    
            

午前10時15分、木曽御嶽山の主峰である剣が峰3067mに到着しました。
中の湯からちょうど5時間です。
北方向にある乗鞍岳北アルプスをバックに記念撮影です。
360度の眺望で、西には白山、南には中央アルプスが望めます。
残念ながら、東に見えるはずの富士山や八ヶ岳は霞んで見えません。
                        
                              

我々以外に誰もいないので、石の上にカメラを設置し、セルフタイマーで記念撮影です。
           
実はこの剣が峰は木曽御嶽山の主峰と言いましたが、このカルデラ域にはこのほかに
摩利支天山、継母山、継子山などの外輪山があり、これらが連なって大きなカルデラ
稜線が築かれているのです。
             
したがって、頂上はこの剣が峰のほかにも王滝頂上、飛騨頂上などがあるのです。
                               
                

剣が峰の頂上にも鐘がありました。木槌がないので、ピッケルでたたきました。
                   
          

北アルプス方向は絶景ですね。
                       
                

中央アルプス木曽駒ケ岳、宝剣山、空木山が雪をかぶっています。
                    
実はこの木曽御嶽山中央アルプスの一角と思われていますが、地質学的には北アルプス
属し、乗鞍火山山系の活火山となるのです。
冬の気候はかなり厳しいことから、地元の人は富士山と同じ独立峰と考えているようです。
そのために、富士山同様、霊峰と崇められているのです。
                               
                     

木曽御嶽山の主峰である剣が峰頂上には御嶽神社があります。
小銭を持っていませんでしたが、お参りしました。
                
実は、剣が峰の三角点3067mよりも、この神社のほうが高いので、木曽御嶽山
最高地点は御嶽神社の屋根なのです。おそらく3069mほどあるでしょう。
                              
                     

剣が峰よりお鉢周りをしました。
剣が峰の直下には活火山らしく、湯気のあがるかつての噴火口があります。
茶褐色の岩石と黄色い硫黄が入り混じった岩肌で、硫黄の臭いが鼻をつきます。
                 
           

ほどよく稜線を歩いたところで、宴会ポイントを見つけました。
                         
            

ピッケルを置き、ウィスキーの瓶を立てかけました。
雪山恒例の宴会シーンの始まりです。
                       
               

持ってきたアルコールは、ビール(プレミアムモルツ500ml缶)3本、赤ワイン500ml、
地酒(真澄の特別生原酒の「あらばしり」)900ml、そしてニッカウィスキー250mlです。
               
実はビールと地酒は刺身とともにクーラーボックスに入れてきたのです。
この3000mの宴会場では雪に埋めておくだけでキンキンに冷えて美味しいのです。



いよいよ標高3000mでの宴会スタートです。
サントリーモルツで乾杯です。
バックには剣が峰と美しい色の一ノ池が見えます。
                     
          

ゆうパパもビールを一気に飲んでいきます。
ゆうパパの位置からは、乗鞍岳を中心とした北アルプスや、一ノ池を見下ろすことができ、
最高の景色を肴にビールが進みます。
                       
                 

先ずはツマミからスタートです。
お刺身4種盛り、殻付ほたて貝のバーベキュー、オイルサーディンです。
殻付ほたて貝は、網で醤油焼きするのです。
この雪の御嶽山3000mで、香ばしい匂いが漂います。
                         
                 

お刺身は、中トロ、かんぱち、イカ、たこ、です。
持ってきた醤油とわさびでいただきます。
              
           

更に、うなぎの甘煮の缶詰と自宅で仕込んできた砂ずりの煮つけに加え、厚揚げを追加です。
                           
        

ここで殻付ほたて貝が香ばしく焼きあがったので、よく冷えた地酒「真澄あらばしり」と
ともにいただきます。
3000mの雪山の頂上でこんな食材をおいしい地酒とともにバーベキューで食べれるなんて、
何と幸せなんでしょう。
これも、重たい荷物にも耐えて、苦労して登ってきた甲斐あってのことです。
しかし、見渡す限り、誰〜も居ませんね。この景色を我々が酒の肴として独占です。
                                  
                          

厚揚げは網で醤油をつけて炙ります。
写真はありませんが、この後、地鶏の炭火焼をいただきました。
                      
                

石の上にカメラを置いてセルフタイマーで宴会の様子を記念撮影です。
                              
                    

メインディッシュは、パスタです。
家で茹でてきたパスタを、オイルサーディンの缶詰の残り油でいためて、キューピーの
「ぺペロンチーノの素」でウィンナーを刻んで入れて炒めました。
ガーリックソテーのイタリアン独特の香ばしい香りが3000mで漂います。
                                   
そのほかにも、チーズ蒲鉾、ずわい蟹の缶詰を開けて全部たいらげました。
メインディッシュの後には、更に梅茶漬けと食後のコーヒーをいただきました。
                                  
                         

気がつくと、すでにこの場所で宴会を始めて2時間近くが経過していました。
           
天気も朝の真っ青な快晴とは異なり、薄い雲が上空に広がり、太陽が傘をかぶっていました。
太陽や月が傘をかぶると天気が悪化すると言います。
天気予報どおり、夕方には厚い雲に覆われ、明日以降は雨(ここは雪?)となるようです。
                                      
        

身支度をして出発です。あとは下山するのみです。
                 
        

カルデラ稜線からさらにお鉢周りをして下山します。
                 
           

お鉢まわりをして一ノ池に下りてきました。
この眼下には更にもう一段のカルデラがあり、二ノ池があるのです。
                      
           

眼下に賽ノ河原を見ながら記念撮影です。
その向こうには飛騨頂上、遠くには乗鞍岳北アルプスがそびえています。
                 
                 

ゆうパパが二ノ池を眼下にポーズをとります。
                     
              

おけパパも二ノ池を眼下にポーズをとります。
                      
  

頂上のカルデラ外輪から二ノ池への下りです。
おけパパは「尻セーディング」で一気に滑り下ります。
             
雪山の登山技術で「グリセード」というものがあります。
グリセードは残雪などをアイゼンをつけずに登山靴でゆっくりと滑り下りる技術です。
現在進行形で、滑り下りる姿を「グリセーディング」していると言うのです。
               
おけパパはお尻で滑っているので、「尻セーディング」なのです。
意外とこれが楽しく、しかも一気に雪斜面を滑り下りれるのです。
ただし、ピッケルを使ってしっかりとブレーキを掛けないとスピードがつきすぎると
滑落になります。
                
            

ゆうパパとおけパパの「尻セーディング」の跡です。
                      
             

二ノ池近くまで、高低差100mくらいを一気に外輪を「尻せード」で滑り下りてきたのです。
                         
                 

二ノ池まで下りてきました。

              

湖面をよく見ると、氷が解け始めて、水が対流していることがわかりました。
                       
              

ゆうパパが雪の斜面をトラバース(横切る)しています。
下山するには、元来た道に出る必要があり、この雪の斜面をトラバースする必要が
ありました。
3月は雪崩の恐れもあることからトラバースは危険ですが、この季節に雪崩はほとんど
大丈夫だと思われます。
それでも、ところどころで雪の斜面にはクラックが走っている場所がありました。
                            
            

おけパパもトラバースします。
                     
            

九合目の下側まで下りてきました。
この後、八合目から九合目にかけて形成されている大カールを二人で大胆にも、
「尻セード」で一気に滑り下りたのです。
                 

こうして、春の様相を見せ始めた雪の木曽御嶽山の登山を思う存分に楽しんだのでした。                                              
                     

中の湯(黒沢口)に下山したのは、午後4時15分でした。
ちょうど、木曽御嶽山に11時間入山していたことになりますね。
                    
  
自宅に帰り鏡を見ると、おけパパの顔がお酒を飲んだように真っ赤になっていました。
高山での快晴と雪焼けのために一気に日焼けしたようです。
サングラスの跡がくっきりと残っていました。