赤岳頂上宴会ツアー? 1日目


八ヶ岳の最高峰 赤岳(標高2899m)の頂上標識です。
今回は、Iさんとともに八ヶ岳の最高峰である赤岳の頂上、氷点下15℃の
寒中で美しい富士山を見ながら酒宴を開こうという馬鹿げた企画をして、
冬の赤岳頂上を目指しました。



八ヶ岳の最高峰 赤岳頂上での記念撮影です。
ちょっと露出オーバーです。



朝7時15分。
美濃戸山荘前から山に入ります。
気温は氷点下でマイナス11℃です。
ルートは、南沢を行者小屋まで登り、そこから文三郎道を稜線まで登ります。
出発時の天気は曇りで、先行きが不安視されます。


南沢の途中で写真を撮ってみました。
リュックの中には、通常の冬山登山用の装備のほか、ビール、大吟醸の生酒、
焼酎およびそのお湯割り用の軟水に加え、まぐろ、蛸のお刺身や砂ずりの煮込み、
オイルサーディン、あたりめ、和歌山産生シラス など、相当な量の酒肴を
入れており、とても重たいです。
それよりも、天気がどんよりとしており、山頂方向がガスで全く見えません。



10時すぎ。予定どおり、行者小屋に到着です。
ここから先は一気に高度を上げていきますので、防寒ヤッケと防寒手袋、
アイゼン、ピッケルの装備を行います。

しかし、天気は悪く、通常ここから山頂付近を見渡せるはずですが、濃い灰色雲と
ガスで全く見えません。
それどころか、この業者小屋前ですでにとても寒く、10時を回っているにも
かかわらず、手元の温度計がマイナス11℃のままです。

今日の八ヶ岳の天気予報は晴れときどき曇りで、昼からは風が多少強いが良く晴れるとの
ことです。
でも、ちょっと今の天気、予報と違うんですが・・・



天気予報では、昼から天気が回復するということですので、とりあえず、
頂上を目指すということで、業者小屋を10時30分に出発しました。
文三郎道に入ると、すぐに森林地帯を抜け、風の強い岩稜地帯になっていきます。
写真の左上の黒くなっている部分は、Iさんのヤッケのフードです。
風が強く、フードを被っていないと、ほっぺが凍傷になりそうです。



高度が増し、2600m付近になってくると、空気が薄いために息が少し苦しく
なってきました。
酒宴用の荷物がとても重たく、こんな悪天候なのにあきらめずに頂上を目指すなんて
少し後悔しています。

上から下りてくる人に数名出会いましたが、全員が「稜線付近の風が台風並み」、
「頂上を目指したが無理だった」、「耐風姿勢が必要で、身体が風で飛ばされそうに
なる」、「頂上目指すんだったら、がんばってください」などと、よろしくない声を
かけて行かれます。



11時40分。文三郎道から稜線にでました。
ここで、阿弥陀岳方面と赤岳方面に分かれます。



稜線上の風が強いので、岩肌に隠れて撮影です。
一歩稜線に歩き出ると、台風並みの暴風で涙、まつ毛や鼻の中が凍りつきます。
後で聞いた話では、風速15〜20mほどあったそうです。
風の強さ気温の低さが写真では伝わらないので残念です。
残念ですが、この後の稜線上を歩く姿は、暴風のため撮影できませんでした。



稜線から最後の岩稜地帯に入りました。
丁度、風の吹きつける裏側に出たために、風があまりありません。
頂上に向けての岩登りは滑落に十分注意が必要なので、風があると苦戦するところ
だったので、助かりました。



岩登りも最後になったころ、少し撮影できるポイントがありました。



12時27分。赤岳頂上(2899m)に到着です。
暴風とどす黒い雲の中、周りに何も見えません。


一応、Iさんとともにピッケル万歳をしました。
ちょっと露出オーバーの写真です。
この写真は、偶然、我々のような馬鹿な人が1名山頂にやってきたので写してもらいました。

山頂はとても寒く、一日で一番気温が上がるこの時間でもマイナス14℃になっていました。
風速15〜20mということを考えると、体感温度はマイナス30℃程度なのです。
ということで、頂上では3分間の滞在で下山することにしました。
頂上での酒宴はあきらめ、少し稜線を下ったところにある山小屋を風除けにして酒宴を
開こうということになりました。



赤岳頂上小屋方向を撮影しましたが、視界は20〜30m程度で何にも見えません。
下山ルートは頂上小屋を通り、赤岳展望荘の小屋を抜け、地蔵の頭まで稜線を歩いた後、
地蔵道ルートで行者小屋に戻ります。



頂上から少し降りると、県境尾根の分岐点がありました。
県境尾根から登ってきた人が稜線に出ると、赤岳方向と横岳、硫黄岳方向に分岐する地点です。
昨年12月、この尾根で男女2名の人が寒さで動けなくなり、凍死されたニュースが頭をよぎりました。



強風の中、撮影のために Iさんが屈んだ姿勢を撮ります。
ちょっと、足元でアイゼン効いていませんよ・・・



頂上から稜線を歩くこと30分。
13時過ぎに赤岳展望荘の小屋に到着です。
この小屋では風力発電をしていますが、全て氷結してしまっています。



赤岳展望荘の小屋前で風を避けて酒宴開始です。
持ってきたエビスビールシルクをコップに注いで乾杯しました。
しかし、わずか30秒で泡が凍りつき、一気飲みを強いられました。
そのあと、焼酎のお湯割りを作り、Iさんが飲みます。



パパは焼酎のお湯割りを飲みながら、コンソメスープ仕立てでウインナー、
白菜を煮込み、家で炊いてきた白飯をぶっ込んだ「にゃんこ飯」を食べます。
にゃんこ飯を少し食べている間に、焼酎のお湯割りが水割りになり、氷結するので、
常に温めながら食べます。

天気が良ければ、ここから富士山を眺めながら一杯飲めるんですがねえ。
今日は何にも見えません。
しかし、酒宴をしている間に、時折上空に明るさが出てきました。
天気が回復する兆しのようです。



13時40分。寒いので酒宴&昼食を30分で切り上げ出発です。
すると、すぐに清里方面の下界が初めて姿を見せ始めました。
しかし、富士山はおろか、遠くが全く見えません。



地蔵の頭に到着です。
お地蔵さんに下山の安全祈願をして、いよいよ稜線を離れ急坂を下ります。



稜線を離れて間もなく、ガスが少し晴れ、行者小屋が眼下に見えました。



風が強い急坂のため、しゃがんだ姿勢でポーズです。
風にあおられて足を滑らせると、一気に300mほど滑落してしまいます。



急坂で少々休憩です。



森林限界付近の低木が樹氷になっています。



かなり下山してきました。
この急坂を下りれば、いよいよこの先は樹林地帯です。



15時10分。行者小屋に着きました。
酒宴の場から1時間30分でした。
何と、森林地帯を下山している間に、雲が晴れてきたようです。
行者小屋へ降りたときには、急速に天気が回復し、今登ってきた赤岳がその姿を現わしました。



太陽も照ってきて、赤岳が美しいです。
この後、登山口まで降りる時間がないため、赤岳鉱泉小屋に泊まることとし、そこで酒宴の
続きをすることとなりました。



15時40分。中山乗越から少し寄り道をして、中山展望台で記念撮影です。
太陽がすでに傾き始めているため、若干赤みのかかった赤岳がとても美しいです。
赤岳はもちろん、展望台からは阿弥陀岳、横岳の雄姿も見ることができました。
頂上での天気は最悪でしたが、今日はこの景色が見れて満足です。


16時すぎ。赤岳鉱泉小屋に到着です。
この小屋は、このエリアで唯一、真冬も開けてくれているオアシスのような存在です。
夏場はこの小屋で温泉に入ることができますが、冬は閉鎖です。
一息ついた後、頂上では満足にできなかった酒宴の続きを行いました。

酒宴は、缶ビール4本、大吟醸生酒760mlのあと、燗したワンカップ2本を
二人で飲みほしました。
酒肴も、頂上で食べることができなかった、お刺身やししゃもサーディン、あたりめ、
などを全てたいらげました。

酔っ払いおやじとなった我々は、午後7時30分には就寝してしまいました。